ソシオネクストはあまり世間の認知度が高くないかもしれませんが、富士通とパナソニックのSoC事業を統合してできた設計専業のファブレス企業です。2022年には東証プライム市場に上場も果たしています。
この記事では、そんなソシオネクストについて歴史や強み、業績、年収について徹底解説します。是非とも最後までご覧ください。
【プロフィール】
- 上場企業の現役半導体プロセスエンジニア
(経験10年以上) - 多くの材料メーカーや生産委託先企業との業務経験あり
- 著書を出版しました
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- 特にソシオネクストについて調べたい
動画で解説:ソシオネクストについて
ソシオネクストは富士通とパナソニックのSoC事業を統合したファブレス企業
株式会社ソシオネクストは、本社が神奈川県横浜市港北区新横浜にあります。新幹線の新横浜駅からすぐの位置にあります。
会社設立は2014年9月で、2015年3月から事業を開始しています。
ここ最近のように思えますが、後で説明する歴史の中で取り上げるように富士通とパナソニックのSoC事業を統合してできた新しい会社であるためです。
2022年10月に東証プライム市場に上場しており、証券コードは6526。売上高は2022年3月期で1170億円です。
社名のソシオネクストはラテン語の社会を意味する「Socio」と、ネクストジェネレーションの「Next」を組み合わせた造語です。「Socio」の部分には主力製品であるSoC(System on Chip)も取り入れた格好になっています。
ソシオネクストの歴史
ソシオネクストの歴史は2014年に準備会社として設立されたところから始まっています。
翌2015年に富士通セミコンダクターとパナソニックによる会社分割によって両社のSoC事業を統合して事業を開始しています。
2018年以降は、サービスと製品の差別化のために独自のSoCを求める顧客に向けたソリューションSoC(詳細はソシオネクストの事業で説明)を注力事業として、リソースシフトと強化を実施し始めました。
そして2022年10月に東証プライム市場に上場を果たしています。
SoCとは必要機能を1つの半導体にまとめたもの
ソシオネクストの事業であるSoCについて確認をしましょう。
SoCとはSystem on Chipの略称で、システムLSIとも呼ばれます。
システムに必要となる機能を1つの半導体チップに集約したもののことです。
具体的な機能としては、CPUやメモリ、GPUに入出力機能(I/O機能)、通信機能などです。これらが揃っていれば大概のシステムは動作します。
SoCのメリットは、1チップ化しますので機器の小型化や軽量化、高速化を図ることができる点です。一方デメリットとしては、開発工程が長期化することや開発途中での仕様変更が難しくなる点があげられます。
ファブレスとは自社で生産拠点を持たない企業
次にソシオネクストの事業形態であるファブレスについて確認します。
ファブレスとは、その名の通りでファブ(工場)を持たない企業です。製品の製造はファウンドリとOSATなどの他社に委託して、製品の企画や設計、販売に特化した企業のことです。
近年主流の水平分業型ビジネスモデルの一翼を担っており、海外では巨大なファブレス企業が多数存在します。
日本には大きな会社がまだまだ少ないですが、ソシオネクストは上場も果たした国内トップ企業の1社です。
海外ではCPUを作るAMD、GPUを作るエヌビディア、通信系半導体を作るブロードコムやクアルコムなどがあります。アップルもiPhoneやiPadなどに搭載している半導体の設計は自社で行っていますので、ファブレス企業の1社です。
ソシオネクストの事業
ここからソシオネクストの事業について見ていきましょう。
ソシオネクストの事業はソリューションSoC、最適なカスタムSoCとしています。
そもそもカスタムSoCとはロジック半導体の中の特定用途向けロジックに分類されます。ASIC(エーシック)とも呼ばれます。このカスタムSoCの中で従来型のASICやASSPベースのカスタムSoCではなく、新しいビジネスモデルとしてソリューションSoCというモデルを掲げています。
ソリューションSoCとは、SoCアーキテクチャーや仕様などのSoCの上流設計を顧客と共同で実施するビジネスモデルのことを指しています。
これによって顧客のソフトとハードの両面を理解して最適な設計を考案することができるとしています。
そしてこのソリューションSoCに取り組む注力分野として
- オートモーティブ(自動車)
- ネットワーク/データセンター
- スマートデバイス
の3つの分野としています。実際にNRE売上の9割近くをこの3分野で占めています。
また海外売上高比率も上昇しており、NRE売上では7割近くが海外向けとなっています。
そしてウエハ製造に使うプロセスは先端ノード比率が高まっており、5-7nmプロセスが43%、10-16nmプロセスが30%となっています。そのため多くをTSMCに委託して製造しています。
ソシオネクストの業績予測
ソシオネクストの業績は2022年3月期で売上高が1170億円、営業利益が85億円、営業利益率は7.3%です。
2023年3月期にこれを売上高1700億円、営業利益170億円、営業利益率10%にする予測を出しています。
実際に22年第2四半期までは売上高が順調に増加しています。
ソシオネクストの国内拠点
ソシオネクストの国内拠点について確認してみましょう。
ファブレス企業ですので、製造拠点は持っておらず、設計と開発拠点を各地に持っています。
北から確認しますと、
- 宮城県仙台市
- 神奈川県川崎市(本社は横浜市)
- 愛知県春日井市
- 京都府京都市
と大きく4拠点なっています。また海外には米国、ドイツ、中国、台湾に拠点を持っています。
ソシオネクストの年収
最後にソシオネクストの年収を確認しましょう。多くの方が気になるところですね。
有価証券報告書によりますと、従業員数2177名の平均年収として799万円となっています。高年収企業と言えます。
新卒の採用情報に記載されている初任給は他の大手企業と変わらないレベルです。入社後の昇給が異なってくると推察されます。
まとめ
- 公式サイト