SCREENは、日本の半導体製造装置メーカーで主に半導体プロセスで使う洗浄装置の大手企業です。
この記事では、そんなSCREENについて歴史や強み、業績、年収について徹底解説します。是非とも最後までご覧ください。
【プロフィール】
- 上場企業の現役半導体プロセスエンジニア
(経験10年以上) - 多くの材料メーカーや生産委託先企業との業務経験あり
- 著書を出版しました
- 詳しいプロフィールはこちらからどうぞ
- 半導体業界に興味がある
- 半導体業界に就職、転職したい
- 特にSCREENについて調べたい
動画で解説:SCREENについて
SCREENは洗浄装置大手
SCREENは本社が京都府京都市にあります。最寄り駅は京都市営地下鉄烏丸線の鞍馬口駅です。
設立は1943年で、2023年は設立から80周年となる長い歴史を持つ企業です。上場市場は東証プライム市場、資本金が約540億円、売上高が2023年3月期で約4,600億円、従業員数が約6,000名という企業です。
SCREENホールディングスは、半導体製造装置、ディスプレー製造装置、プリント基板関連機器などの産業用機器を製造する企業グループの持ち株会社。
社名のSCREEN(スクリーン)とは、設立当時の主要製品であるガラススクリーンから取られたものです。
SCREENホールディングス傘下のSCREENセミコンダクターソリューションズが洗浄装置等の半導体製造装置事業を担っています。
SCREENの歴史
SCREENは2014年に大日本スクリーン製造が社名変更をしています。その大日本スクリーンの前身となる石田旭山印刷所が創業したのは1868年、なんと明治元年のことです。その研究部門が独立する形で大日本スクリーン製造株式会社が設立されたのが1943年です。
創業当初は、写真製版用ガラススクリーン事業を行っていました。
1970年代に半導体製造装置事業に参入し、フォトレジストコーティング装置やウェットステーション(バッチ式洗浄装置)の開発をしました。洗浄装置では300mm、12インチウエハに対応したウェットステーションや枚葉式洗浄装置を開発し、同社の主力事業になり現在に至っています。
SCREENの事業内容
次にSCREENの事業内容を見てみましょう。
同社のコア技術は、
- 表面処理技術
- 直接描画技術
- 画像処理技術
となっており、この中の表面処理技術を活かして洗浄や塗布・成膜、熱処理などの半導体製造装置事業となっています。
半導体プロセスにおける洗浄工程の位置付け
ここで半導体プロセスにおける洗浄工程の位置付けを確認しましょう。半導体を作る工程は、大きく分けて
- ウエハを製造する工程
- 前工程
- 後工程
に分けられます。この中で特に前工程ではウエハ上のパーティクルや汚れは歩留り低下の要因となる大敵です。そのため、各工程の前後には必ず洗浄工程が入ります。
洗浄工程についてもう少し詳しく見てます。
洗浄工程で取り除く汚れはum、nmオーダーのパーティクルや有機成分、金属成分の汚れになります。それぞれの目的に応じた薬液を使い分けることで除去します。
洗浄方法は大きく2つあります。1つはウェット洗浄で、薬液や純水を使って洗浄する方法です。過去から一般的に使用されてきた手法です。現在でも洗浄工程の主流となっている手法です。もう一つはドライ洗浄でオゾンや酸素ガスを使うことで洗浄する方法です。
洗浄方式としてはバッチ式と言われる25枚や50枚単位でまとめて洗浄する方法と枚葉式という1枚単位で洗浄する方法があります。
ウェットステーションではバッチ式のウェット洗浄をしており、目的に応じた薬液や純水などの処理層をならべて構成されており、複数枚のウエハが入ったカセットが必要に応じて各層に入って洗浄されます。
SCREENの半導体製造装置事業
次にSCREENの半導体製造装置事業を見てみましょう。主力である洗浄装置とそれ以外に分けて見ていきます。
洗浄装置
まずは主力事業である洗浄装置です。前工程における洗浄工程は数百工程にも及ぶ半導体製造工程において約3割を占めています。それだけ大切な工程であるということです。
洗浄装置は大きく以下の3つに分類されます。
- 枚葉式洗浄装置
ウエハに薬液や純水を吹き付けて、1枚ずつ洗浄する装置 - バッチ式洗浄装置
ウエハを複数枚同時に薬液や純水に浸してまとめて洗浄する装置 - スピンスクラバー
ウエハを純水とブラシや超音波などの物理的な手法を組み合わせて洗浄する装置
洗浄装置以外
SCREENでは洗浄装置以外にも様々な装置を製造しています。代表的なものは、以下の通りです。
- レジスト塗布、現像工程で使用するコータ・ディベロッパ
- 熱処理工程で使用するフラッシュランプアニール装置
- ウエハ検査工程で使用するエリプソ式膜厚測定装置、パターン付きウエハ外観検査装置
洗浄装置の市場シェア
洗浄装置におけるSCREENのシェアは2021年時点で、
- 枚葉式洗浄装置:35%
- バッチ式洗浄装置:58%
- スピンスクラバー:63%
となっており、枚葉式洗浄装置で約1/3をバッチ式洗浄装置とスピンスクラバーでは過半を占める世界トップ企業です。
SCREENの業績
そんなSCREENの業績を確認しましょう。
まず売上高の推移ですが、過去5年間では2019年度と比較して2020年度、2021年度は落ち込んでいますが、2022年度と2023年度は大きく上昇しています。世界的に半導体工場への投資が進む中で、主力の洗浄装置に対するニーズが大きく増えたものと考えられます。営業利益も2023年度は16.6%とかなり向上していることが分かります。
セグメント別の売上高比率を見ますと、半導体製造装置事業であるSPE(Semiconductor Production Equipment)が全体の約8割を占めていることが分かります。
SCREENの開発・製造拠点
SCREENの開発・製造拠点ですが、主に本社がある京都周辺に固まっています。
主力の拠点は滋賀県彦根市の彦根事業所です。ここにはプロセス技術センターとS3(エスキューブ)-1,2,3,4という生産拠点があります。
その他には洛西事業所(京都府京都市)、多賀事業所(滋賀県多賀町)があります。
さらに熊本にグローバルトレーニングセンター匠(熊本県益城町)があり、ここは保守、サービス拠点となっています。その他、生産や保守などの子会社を持っています。
SCREENの年収
最後にSCREENの年収を確認しましょう。多くの方が気になるところですね。
2023年に提出されているSCREENホールディングスの有価証券報告書によりますと、従業員数約400名の平均年収として約920万円となっています。ホールディングスではありますが、平均年収が900万円を超える高年収企業と言えます。
新卒の採用情報に記載されている初任給は他の大手企業と変わらないレベルです。これは入社後の昇給が異なってくると推察されます。