半導体業界に限った話ではありませんが、現代では多くの非常にデータを扱うことができるようになりました。
半導体業界でも生産工程における製造データ、検査データ、試験データなど多くのデータを扱います。そのため、統計学を学ぶことは有用です。
むしろ統計学の考え方を知らないと誤ったデータの取り扱いをしてしまう可能性があります。
この記事では、統計検定の内容と勉強方法、最後に私の受験体験記をご説明します。是非とも最後までご覧ください。
【プロフィール】
- 上場企業の現役半導体プロセスエンジニア
(経験10年以上) - 多くの材料メーカーや生産委託先企業との業務経験あり
- 著書を出版しました
- 詳しいプロフィールはこちらからどうぞ
- 半導体業界に興味関心がある
- 半導体業界に就職、転職したい学生さんや社会人
動画で解説:統計検定とは?
統計検定とは
統計検定とは、統計に関する知識や統計結果をビジネスに活用する能力を評価する検定試験です。
試験は4級から3級、2級、準1級、1級と5段階に分かれています。少なくとも2級まで学んでおけば統計学の考え方やデータの取り扱いに長けてきます。
受験資格は特にないため、だれでも受験可能です。統計検定も試験はCBT方式(コンピュータを利用して実施する試験方式のことで、受験者はコンピュータに表示された試験問題に対して、マウスやキーボードを用いて解答します。)で行われます(1級を除く)。
合格基準は60点以上です。受験料は学生が安くなっていますので、学生の方は特におすすめです。
もちろん社会人の方であっても統計学を学んだことがない方は、是非とも一度学んでみてはいかがでしょうか。
学んで損をすることはありません。
統計検定のメリットとデメリット
統計検定を受験するメリットとデメリットは何でしょうか?
メリットとしては、統計学の考え方を理解できる点です。
3級を取得すれば基礎的なデータの読み方が分かるようになり、2級であれば統計学の基本的な考え方をマスターできます。そうなることで悪意ある(ない場合もありますが)統計データによって騙されたり、間違った解釈をしなくても済みます。加えて近年で認知度が広がっているAI(人工知能)やデータサイエンスを理解するための基礎的な土台にもなり得ます。
一方でデメリットは、資格自体の認知度が低いことです。
徐々に認知度が広がっているようですが、まだまだ世間一般には知られていません。それに加えて、この資格を取らなければ従事できない業務はないことです。国家資格の業務独占資格や必置義務資格のようなものではないということです。
統計検定4級の内容
統計検定4級の内容は、
データと表やグラフ、確率に関する基本的な知識と具体的な文脈の中で求められる統計活用力を評価し、認証するために検定を行います。
となっており、非常に初歩的な内容です。
大学生や社会人の方であれば受ける必要はありません。本当に基礎の基礎からやりたい方や、中高生向けと言っていいでしょう。
統計検定3級の内容と勉強方法
統計検定3級の内容は、
大学基礎統計学の知識として求められる統計活用力を評価し、認証するために検定を行います。
となっており、高校レベルの知識が問われます。
大学生や社会人の方であれば3級から始めることをおすすめします。まずは3級の内容に取り組むことでデータやグラフの読み取り方がよくわかるようになります。
勉強方法としては、まずは直近の過去問を一度解いてみましょう。
直近の過去問は公式ページで無料公開されています。過去問を一度解いてみることで、
- どういった問題が出るのか
- 自分がどのくらい解けるのか
の2点を把握することができます。
その上で勉強する場合は公式テキストを使うといいでしょう。
公式テキストは正直言ってあまりわかりやすいテキストではありません。
ただ構成が検定内容に沿っていますので、一読は必ずしましょう。
その上で過去問を解きながらわからない点を振り返る際に辞書代わりに使うことをおすすめします。
統計学の基礎を勉強する場合の参考書としては、こちらの「完全独習 統計学入門」をおすすめします。
初歩から非常に丁寧に解説がされており、細かくステップを踏んで進めていくことができる構成になっています。
統計検定2級の内容と勉強方法
統計検定2級の内容は、
大学基礎課程(1・2年次学部共通)で習得すべきことについて検定を行います。
となっており、大学基礎レベルの知識が問われます。
大学生や社会人の方であればここまでは習得することをおすすめします。勉強方法としては、3級の時と同じようにまずは直近の過去問を一度解いてみましょう。
直近の過去問は公式ページで無料公開されています。過去問を一度解いてみることで、
- どういった問題が出るのか
- 自分がどのくらい解けるのか
の2点を把握することができます。
公式テキストの使い方も3級と同様でわからないところがあった場合に調べる辞書代わりにするといいです。
わかりやすい教材としては、統計WEB ベルカーブというWebサイトを使うことをおすすめします。
その内にある、「統計学の時間」では、統計検定2級に合格するレベルの内容が単元ごとに細かく分かれており、説明内容も非常にわかりやすいです。
加えて動画教材としてYouTubeとUdemyがおすすめです。
YouTubeであれば、予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」内の確率・統計の再生リストがいいです。
参考書籍であれば、以下の3冊がおすすめです。
統計検定準1級、1級の内容
統計検定準1級の内容は、
大学において統計学の基礎的講義に引き続いて学ぶ応用的な統計学の諸手法の習得について検定します。
となっています。さらに1級の内容は、
大学専門課程(3・4年次)で習得すべきことについて、専門分野ごとに検定を行います。
となっています。
このレベルまで来ますと本格的に統計学を学ばないと合格は難しいです。加えて統計学以外の数学の知識も多数必要になります。仕事や研究などで統計学を使わない方はここまではやらなくてもいいです。
もちろん興味関心がある方は是非とも挑戦してみてください。
統計検定受験体験記
統計検定3級受験体験記
統計検定3級は2019年6月に受験して無事合格しました。
まず私のバックボーンですが、大学と大学院は工学系でしたので数学はそこそこやっていました。
ただ本格的に統計学を勉強したわけではありません。業務上は半導体の製造データ、検査データ、試験データをExcelでまとめたり分析したりというのは日常茶飯事でした。
まずは基本的なところからと思い3級の勉強を公式テキスト大体3回通読し並行してと問題集(過去問)を3周ほど解きました。3級ですのであまり難しくはなく過去問は9割以上解けるレベルに達し、試験を受けました。
当時はまだ試験会場で受けるスタイルでした。準備した効果を発揮してすべてに自信を持って答えることができました。合格して最優秀成績賞もいただきました。
受験の感想としては、3級は0からであっても公式テキストと問題集(過去問)をやれば難しくはないということです。
大学生の方や仕事でExcelなどを使ったデータを取り扱う方は勉強して損はないと考えています。
統計検定2級受験体験記
統計検定2級は3級の受験から少し間が空きましたが、2020年末に勉強を再開して2021年1月に受験し、何とか合格できました。
2級になるとやはり難しかったです。公式テキストがわかりにくいこともあり、ご紹介した他の参考書や統計WEB、YouTubeなどさまざまな手段を使って勉強を進めました。
わからないところを潰して、問題集(過去問)に取り組むことを繰り返し、8割以上は解けるようになりました。
2級受験時はCBT方式となっていたため、都合の良い日時と場所を選択して受験してきました。結構悩む問題が何題かあり、制限時間いっぱいまで取り組みました。手応えとしてはギリギリのところでした。CBT方式のため、結果がすぐに出て、何とか合格していました。後日自宅に合格証が届きました。
2級は難しかったですが、検定や推定、さまざまな分布について知ることができて面白かったです。個人的には2級までは多くの方に勉強してもらった方がいいと考えています。
これ以上についてはやりたい気持ちもありますが、時間を要しそうですのでまだ手を付けられていないです。
まとめ
統計検定についてご説明しました。
半導体業界では生産工程における製造データ、検査データ、試験データなど多くのデータを扱います。
そのため、統計学を学ぶことにはとても意義があります。
半導体業界でなくても、現代では非常に多くのデータを取り扱えるようになりました。
統計学の基礎基本を身に付け、データを正しく扱うことができ、データに騙されないようになるためにも統計検定を利用して勉強してみてはいかがでしょうか。