2025年2月に半導体業界で生じたニュースを10本厳選してご紹介します。
動画で説明:半導体業界ニュース2025年2月号
2025年2月末時点の半導体関連株式市場推移

各ニュース記事:半導体業界ニュース2025年2月号
3M、次世代半導体パッケージのコンソーシアムであるUS-JOINTに参画

レゾナックは2/4、同社が中心となり設立した、次世代半導体パッケージのコンソーシアムであるUS-JOINTに、米国の化学メーカー3M Companyが新たに参画したと発表しました。
US-JOINTは米国における次世代半導体パッケージの評価プラットフォーム創成と実装技術の開発を目的に2024年7月に設立されたコンソーシアムです。
今回の3Mの参画によってUS-JOINTは日米12社によるコンソーシアムとなります。
US-JOINTでは、半導体パッケージの最新コンセプトの検証を行いうために、シリコンバレーに研究開発拠点を設け、クリーンルームや製造装置を導入して2025年内の稼働を予定しています。
3MがUS-JOINTに参画して全体では12社となりました。今年から拠点の稼働も始まるようですので、今後の成果を期待していきたいものです。他にも参画する企業も増えてくるかもしれませんね。
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レゾナック:プレスリリース(2/4)
富士フイルム、欧州拠点に40億円を投じてCMPスラリーの生産能力増強

富士フイルムは2/5、ベルギーの生産拠点にて先端半導体材料のCMPスラリーの生産設備を新規導入、フォトリソ周辺材料の既存設備を増強すると発表しました。
投資金額は総額で約40億円となっています。
CMPスラリーは配線層が増加する先端半導体に多く使用され、年率13%の高い成長性が見込まれています。
今回のベルギー拠点への投資によって既存の米国アリゾナ州、台湾の新竹市、台南市、韓国天安市、熊本県菊陽町と合わせて世界6拠点の生産体制が構築されることとなります。
富士フイルムが半導体材料分野への投資を加速しています。2024-2026年度の3年間で、研究開発と設備投資をあわせて1,700億円の成長投資を計画しており、今回の生産能力増強もその一環とみられます。
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富士フイルム:プレスリリース(2/5)
TEL、宮城拠点に1000億円を投じて生産新棟を建設へ

東京エレクトロンは2/6、近年の半導体市場における需要拡大に対応するため、製造子会社である東京エレクトロン宮城本社工場に生産新棟を建設すると発表しました。
場所は東京エレクトロン宮城の本社工場北側に隣接するエリアで、2021年に取得されています。
建設費用はおよそ1,040億円で、地上5階、プラズマエッチング装置など半導体製造装置の製造する工場ということです。2025年の6月に着工予定で、竣工は2027年夏予定となっています。
東京エレクトロンが得意とするエッチング装置の生産能力拡大のために新工場を建設するようです。市場もまだまだ伸びていきそうですし、その中でのシェア拡大を目論んでとみられます。用地の取得は数年前に実施されていますので、あとはいつ投資するかタイミングの問題だったと思われます。
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東京エレクトロン:プレスリリース(2/6)
SUMCO、小径シリコンウエハ生産体制を再編へ

SUMCOは2/7、200mm(8インチ)以下の小径シリコンウエハの生産体制再編による収益改善を進めるために、連結子会社であるSUMCO TECHXIV宮崎工場のウエハ生産を他工場へ移管すると発表しました。
シリコンウエハ市場は新型コロナウイルス感染拡大時の特需の反動や米中摩擦を契機とした半導体サプライチェーンの構造変化等によって需要低迷が長期化しています。
しかし300mm(12インチ)ウエハはAI向け半導体や高性能メモリ向けなどの先端品需要が好調であり、需要は回復傾向にあります。ただ、小径ウエハは民生・産業・自動車向け需要の低迷が継続しており、特に150mm(6インチ)以下品は将来的にも需要減少が予測されています。
そのため同社では宮崎工場でのウエハ生産を海外工場を含めた他工場へ集約し、効率化と収益改善に取り組む方針です。
宮崎工場でのウエハ生産は2026年末に終了する計画で、200mm(8インチ)品は長崎工場と伊万里工場へ移管。150mm(6インチ)品はインドネシア工場へ移管。そして125mm(5インチ)品は移管せずに生産終了となるとしています。
SUMCOが小径品の生産体制再編を進めるようです。5インチや6インチ品は一部では使用されていますが、供給側からしますと採算が悪く設備も古いため、やめたいという思いが強いと考えられます。ただ需要側からしますと他社に切り替えるか口径拡大か作りだめが必要ですので大変になることが想定されますね。
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SUMCO:プレスリリース(2/7)
ヤマハ発動機、傘下の後工程関連企業を統合へ

ヤマハ発動機は2/12、同社の完全子会社であるヤマハロボティクスホールディングス、およびその完全子会社である新川、アピックヤマダ、PFAの会社統合を行うと発表しました。
今回の統合では、ヤマハロボティクスホールディングスを存続会社として、新川、アピックヤマダ、PFAは消滅会社とする吸収合併方式が予定されています。
合併契約の締結は3/31、その効力発生日は7/1の予定となっています。7月以降は統合会社としてヤマハロボティクスに商号変更されます。
統合される新川は各種ボンディング装置を、アピックヤマダはモールド装置を、PFAは組立装置などを手掛けており、今回の統合によって半導体後工程および電子部品実装分野における世界トップクラスのトータルソリューション企業を目指すとしています。
新川やアピックヤマダは2019年にヤマハに買収されています。後工程分野の各装置を手掛ける企業を統合することで、今後の成長が期待されている後工程分野でヤマハの存在感が増していきそうですね。
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ヤマハ発動機:プレスリリース(2/12)
インフィニオン、200mmSiCウエハ製品の供給開始

インフィニオンテクノロジーズは2/13、200mmSiCウエハから製造した製品を2025年第1四半期に顧客提供を開始すると発表しました。
この製品はオーストリアのフィラッハ工場で生産され、再生可能エネルギーや電車、EVなどの高電圧アプリケーション向けということです。
同社ではSiC品を200mmへと口径拡大して、市場需要に応じて大量生産を開始する準備が整ったとしています。
一般的にウエハの口径拡大を行うと面積が大きくなり、チップの生産数が多くなり、コスト低減につながります。
インフィニオンが200mmのSiCウエハ品の生産を開始したようです。国内企業ではロームも取り組んでいますが市場需要の低迷によってスケジュールを遅らせています。そうしている間にインフィニオンがどんどんと先行していきそうで心配になりますね。
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インフィニオンテクノロジーズ:プレスリリース(2/13)
SCREEN、事業拡大に向けた新規用地を滋賀県内に取得

SCREENホールディングスは2/14、将来的な事業拡大に備え、滋賀県野洲市に用地取得を決定したと発表しました。
場所は本社のある京都と同社のメイン工場である彦根事業所の中間に位置しており、面積は約13万㎡、投資額は用地取得と第一期工事分合わせて約47億円となっています。実際に用地を取得するのは2026年の予定です。
同地では半導体製造装置などの既存事業に加えてADPKGなどの新規事業の新拠点として活用していく計画としています。
SCREENでは2033年3月期に売上高1兆円以上、営業利益率20%以上という目標を掲げています。今回の用地取得はそのための一環としているようです。本社やメイン工場に近い位置ですので活用はしやすそうですね。
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SCREENホールディングス:プレスリリース(2/14)
JIC、新光電気工業に対する公開買付を開始

産業革新投資機構(JIC)は2/17、半導体パッケージ用基板などを手掛ける新光電気工業に対する株式公開買付(TOB)を開始することを発表しました。
買付期間は2/18から3/18までの20営業日となっており、決済の開始日は3/26です。買付価格は普通株式1株につき5,920円となっています。
今回の出資にはJICのほかにDNP(大日本印刷)と三井化学も参加しています。
新光電気へのTOBがいよいよ開始されました。2023年12月に発表された際は2024年8月としていましたが遅れた模様です。同社は富士通が過半を出資していますので、その持ち分が買い取られることになるようです。
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産業革新投資機構:プレスリリース(2/17)
ASRA、先端SoCチップレット研究開発のステージゲート審査を通過

ASRA(自動車用先端SoC技術研究組合)は2/25、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先端半導体製造技術の開発(委託)」における「先端 SoC チップレットの研究開発」に関してステージゲート審査を通過と発表しました。
本案件は2024年3月にNEDOの次世代半導体設計技術開発に採択となり、これまでに車載用チップレットの要件定義や技術課題とそれに対応する方針と計画が策定され、ステージゲート審査によって実現性が評価された結果、次段階として最大で410億円の支援が承認されたということです。
今後は策定された仕様に基づいて、プロトタイプの検証を行い2028年度までに技術開発完了を目指すとしています。
ASRAの研究開発プロジェクト進展が公表されました。具体的にはこれからということですので、引き続き注目していきたいと思います。
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ASRA(自動車用先端SoC技術研究組合):プレスリリース(2/25)
経済産業省:ステージゲート審査結果概要
スカイウォーター、インフィニオンの米国工場を買収

スカイウォーターは2/26、インフィニオンテクノロジーズが持つ米国工場を買収すると発表しました。
買収対象となるのはテキサス州オースティンにある工場(Fab25)で、ウエハ口径は200mm(8インチ)に対応する施設です。
スカイウォーターは2017年に設立された米国のファウンドリ企業で、米国国防総省から国防マイクロエレクトロニクス活動(DMEA)の認定を受けている企業です。
今回の買収によって同社はインフィニオンとのパートナーシップを拡大し、米国のファウンドリ能力を大幅に増強するとしています。
今回の工場買収は、「機密性の高い戦略的アプリケーションに不可欠な基盤チップのサプライチェーンの回復力も向上し、国家と経済の安全保障の両方が強化されることを期待」ということで、少々政治色があるようにも見えます。時代の追い風という感じでしょうか。
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スカイウォーター:プレスリリース(2/26)