動画で説明:半導体業界ニュース2022年11月号
各ニュース記事:半導体業界ニュース2022年11月号
SUMCO、三菱マテリアルの多結晶シリコン事業を取得へ
シリコンウエハ大手のSUMCOは10/28、三菱マテリアルの半導体用多結晶シリコン事業を取得することを発表しました。
三菱マテリアルは、半導体用の多結晶シリコンやトリクロロシランなどを製造する新会社である高純度シリコン株式会社(予定)を設立します。この新会社に米国三菱ポリシリコンと日本アエロジルの株式承継を実施した上で、SUMCOが新会社の株式を取得するとしています。
今回のSUMCOによる新会社取得(子会社化)によって、シリコンウエハ事業の原材料事業を自社に取り込むことができます。原材料から最終製品までを一貫して推進することができ、企業価値の向上につながるとしています。
三菱マテリアルはSUMCOの源流企業の1つです。そして、多結晶シリコン事業はシリコンウエハを製造するための単結晶シリコンの材料となるものです。そのため今回の新会社取得はSUMCOにとってのメリットが大きいと考えられます。
シリコンウエハ事業はSUMCOと信越化学の2社が世界でもトップ企業ですので、競争力向上を図り、さらに強くなってくれることを期待したいです。
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SUMCO:プレスリリース(10/28)
オンセミ、新潟工場を投資ファンドへの売却を決定
オンセミコンダクター(以下オンセミ)と日本の投資ファンドであるマーキュリアホールディングス(以下マーキュリアHD)は、11/1にマーキュリアHDによるオンセミの新潟工場買収で合意したことを発表しました。
マーキュリアHDは日本政策投資銀行、伊藤忠商事などが出資する投資ファンドです。売却額は非公表ですが、日本経済新聞の記事によりますと200億円を超える額が投じられると見られています。
今回の買収は市場需要、顧客ニーズに対応して、半導体分野で日本初の独立系スペシャリティファンダリを創出するものとしていますマーキュリアHDは今後もアナログ及びパワー半導体分野における日本の国際競争力の強化に注力する方針を取る模様です。
今回発表されたオンセミ新潟工場を皮切りに今後も日本国内の工場を買収する方針のようです。
国内工場の多くは小口径ラインで規模としても決して大きくはありません。それらをまとめることで競争力のあるファウンダリを創出することができるのか、今後どこの工場を買うつもりなのか注目です。
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マーキュリアHD:プレスリリース(11/1)
ソニーグループ、22年2Qの半導体事業売上高は前年度比43%増
ソニーグループは11/1に2022年度第2四半期(7月~9月)決算を発表しました。
ソニーグループ全体の業績は売上高が2兆7519億円で、前年同期比16%増、営業利益は3440億円で同8%増でした。
半導体事業を担うイメージング&ソリューションズ事業(I&SS分野)の業績は、売上は3984億円で前年度同期比43%増、営業利益は740億円で同49%増でした。
CMOSイメージセンサの売上増加に加えて為替の影響もあり、増収増益となりました。 2022年度通期見通しは、売上高は7月時点からの変更はなく1兆4400億円、営業利益は200億円上方修正されて2200億円となっています。
ソニーの半導体事業は好調のようです。第2四半期は大幅な増収増益で、通期でも販売数量の減少はあるものの為替の影響で営業利益を上方修正しています。
イメージセンサ分野での強さ、シェアをより高めてもらいたいですね。
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ソニーグループ:プレスリリース(11/1)
22年度2次補正予算案に1.3兆円の半導体支援策が盛り込まれる
経済産業省は11/8に閣議決定された令和4年度第2次補正予算案について経済産業省関連資料を公表しました。
半導体支援関連では以下の項目が設けられました。
- ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業【4,850 億円】
日米をはじめとする国際連携での次世代半導体の製造技術開発等や、様々な計算需要を支える次世代計算基盤の実現に向けた、ハード/ソフトの技術開発を支援する。 - 先端半導体の国内生産拠点の確保事業【4,500 億円】
データセンターやAI等の最先端技術に必要不可欠な先端半導体の国内生産拠点を整備するとともに、その拠点での継続生産や、投資・研究開発等を進めることで、安定供給確保を実現する。 - 半導体サプライチェーンの強靱化支援【2,163 億円】
半導体やその関連部素材について、生産能力強化等の支援を行い、我が国のDXの推進と投資促進を行うとともに、サプライチェーンの強靱化を図る。 - 電力性能向上によりGXを実現する半導体サプライチェーンの強靱化支援【1,523 億円】
エネルギー効率の改善に資する半導体やその関連部素材について、生産能力強化等の支援を行い、GXの実現に向けた確実な投資を進めるとともに、サプライチェーンの強靱化を図る。
合計で約1.3兆円を半導体関連の支援に充て、経済安全保障上の重要度が高まっている半導体の国内供給体制の構築を推進する見込みです。
先端半導体の製造拠点確保に充てられる4500億円は21年度補正予算の6170億円と合わせて1兆円を超えます。21年度補正予算ではTSMCの熊本工場などに充てられていますが、今回確保された予算がどこの工場に充てられるのか注目していきたいです。
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経済産業省:プレスリリース(11/8)
TEL、22年2Q売上高は前年度比48%増も下期は下方修正
東京エレクトロン(TEL)は、11/10に2022年度第2四半期(7月〜9月)決算を発表しました。
売上高は7092億円で、前年度同期比48%増、営業利益は2326億円で、同75%増と大幅な増収増益でした。
メイン事業である半導体製造装置(SPE部門)の地域別売上高構成比率は、日本13.1%、北米15.8%、欧州7.4%、韓国12.2%、台湾19.4%、中国24.5%、東南アジア・その他が7.6%となっています。
日本及び北米と台湾、中国が前四半期から売上を大きく伸ばしています。
新規装置のアプリケーション別での売上高構成比率はDRAMが15%、不揮発メモリが24%、ロジックファウンドリ・その他が61%でした。この中ではロジックファウンドリ・その他が大きく伸びています。
ただし2023年3月期通期の業績予想は売上高が前年度比4.8%増の2兆1000億円、営業利益は同8.9%減の5460億円と下方修正しました。これは半導体メーカの設備投資計画変更を反映したものです。
TELが売上高、利益ともに大幅な増収増益です。下期は半導体メーカーの設備投資計画変更を反映して下方修正していますが、中長期的な目標は2027年売上高3兆円、営業利益率35%以上としています。
2022年から25年に67もの300mm新規工場、ラインが建設見込みということですので、半導体製造装置需要は今後さらに高まっていきそうです。
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東京エレクトロン:プレスリリース(11/10)
経済産業省、次世代半導体の国産化を目指す新会社ラピダスに700億円の支援
経済産業省は11/11、次世代半導体の製造技術確立に向けた研究開発プロジェクトの採択先をRapidus(ラピダス)に決定したと発表しました。
ラピダスはキオクシア、ソニーグループ、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTT、三菱UFJ銀行の計8社の出資で2022年8月に設立された半導体製造企業です。 同社の取締役会長には元東京エレクトロン社長の東哲郎氏が、代表取締役社長には元ウエスタンデジタルジャパン社長の小池淳義氏が就任しています。
経済産業省はラピダスについて、「次世代半導体の量産製造拠点を目指すため、国内トップの技術者が集結し、国内主要企業からの賛同を得て設立された事業会社」としており、今回のポスト5G基金事業における次世代半導体の研究開発プロジェクトの採択先として決定しました。(開発費700億円)
ラピダスについては賛否両論があります。ただ世界の半導体産業における日本の存在感は年々低下している中で何も手を打たないとジリ貧になることは確実です。難しい舵取りになると考えられますが、頑張っていただきたいです。
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経済産業省:プレスリリース(11/11)
キオクシア、22年2Q売上高は前年度比2%減 10月から3割の生産調整実施中
キオクシアは11/11に2022年第2四半期(7月~9月)決算を発表しました。
売上高が3914億円で、前年同期比2%減、営業利益は806億円で同3%増でした。
今年1月に生じた不純物を含む部材を起因とする操業影響からの回復に加え、スマートフォン向け出荷が季節性要因で増加したことにより、総出荷量は増加しました。
その一方で、需給バランスと製品ミックスの影響によって販売単価が下落した結果、前四半期比で増収減益となっています。
また四日市工場(三重県四日市市)と北上工場(岩手県北上市)において、10月から当面、同社分のウエハ投入量の約3割を削減する生産調整を実施しています。今後は需要動向に沿った生産調整を実施するとともに、市況動向を見ながら、随時、稼働状況を見直していくとのことです。
今後の見通しは、世界的なインフレ進行と金利上昇、景気後退懸念及び新型コロナウイルスの感染再拡大に伴うサプライチェーンの混乱により先行き不透明感が強まっており、フラッシュメモリ需要が全般的に弱含んでいるとしてます。
生産調整も実施しており、苦しい状況がよく分かります。この苦境を上手く乗り切っていただきたいものです。
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キオクシア:プレスリリース(11/11)
インフィニオン、ドイツに300mm新工場を建設へ
インフィニオンは11/14におよそ50億ユーロ(約7200億円)を投じて、ドイツのドレスデンに300mmウエハの新工場を建設する計画を発表しました。
2026年の秋から稼働を開始する予定で、同工場ではアナログ/ミックスドシグナルやパワー半導体を製造し、フル稼働時には年間で50億ユーロ程度の売り上げを見込むとしています。
同社ではドレスデン工場およびオーストリアのフィラッハ工場で既に300mmウエハ工場を稼働しています。今回の投資で300mmラインがさらに強化されます。
また同社は「投資の決定には、十分な公的資金が必要だ」と説明しており、「欧州半導体法を通じて十分な資金調達ができることを期待している」と述べています。
インフィニオンはパワー半導体のシェアで世界一の企業です。今回の投資によって300mmラインの能力がさらに強化されることになります。日本の企業も一部でパワー半導体の300mm化を進めていますがインフィニオンはかなり先行しています。
日本勢にも頑張って引き離されないようにしてもらいたいです。
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インフィニオン:プレスリリース(11/14)
マイクロン、半導体市況の悪化を受けてメモリ生産量を2割削減へ
メモリ大手のマイクロンテクノロジーは11/16、メモリ市況の悪化に対応してDRAMとNANDフラッシュメモリのウエハ生産投入量を前四半期(6月~8月期)比で約20%削減すると発表しました。
今回のウエハ生産投入量削減は、現在生産しているすべてのテクノロジーノードの製品を対象としています。 また同社は追加の設備投資の削減にも取り組むとしています。
メモリを搭載するスマホやパソコン需要が減少していることでメモリ市場では供給過剰に陥り、価格の押し下げ圧力が強くなっています。
メモリ企業が苦境に立たされています。マイクロンは2割の減産、キオクシアも3割減産する方針です。
メモリ市場では過去からよくある状況ではありますが、ここが踏ん張りどころのようです。
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マイクロンテクノロジー:プレスリリース(11/16)
AMAT、22年通期決算で過去最高の売上高を更新
アプライドマテリアルズ(AMAT)は11/17に2022年第4四半期(8月~10月)及び2022年通期決算を発表しました。
第4四半期の売上高は前年同期比10%増の67億5000万ドルで営業利益は19億9000万ドル(営業利益率29.5%)でした。 また2022年会計年度通期の売上高は前年度比12%増の257億9000万ドルと過去最高を記録しました。営業利益は77億9000万ドル(営業利益率30.2%)でした。
今回の決算に際して、同社社長兼CEOであるゲイリー・ディッカーソン氏は次のように述べています。 「当社は記録的な業績で会計年度を力強く締めくくりました。サプライ チェーンの制約を緩和し、顧客の需要を満たすために可能な限りのことを行うことに引き続き注力しています。」
AMATは会計年度末が10月のようですので通期決算が発表されました。恐らく22年も半導体製造装置メーカー別の売上高で世界一になると考えられます。
売上高もさることながら営業利益率も高く好調のようです。世界的には半導体工場の建設が続きますので新規装置の需要はまだまだ衰えないでしょう。
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アプライドマテリアルズ:プレスリリース(11/17)