【2024年秋季版】世界の半導体市場と今後の予測を解説!

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半導体は豊かな現代の生活をするうえでなくてはならない存在であり、経済安全保障という文脈の中でも重要度が年々向上しています。

半導体市場は2023年は減少となりましたが、2024年さらに2025年はプラス成長が予測されており、今後も市場は拡大し続けています。

この記事ではそんな半導体の世界市場について、WSTSという世界の半導体市場に関する統計機関が発表している2024年秋季版の結果を解説します。是非とも最後までご覧ください。

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【プロフィール】

  • 上場企業の現役半導体プロセスエンジニア
    (経験10年以上)
  • 多くの材料メーカーや生産委託先企業との業務経験あり
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ずーぼ  
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目次

動画で解説:2024年秋季版 世界の半導体市場

WSTSとは半導体市場に関する世界的な統計機関

まずはじめに半導体市場の統計値を公表しているWSTSについて確認しましょう。

WSTSとは、WORLD SEMICONDUCTOR TRADE STATISTICSの略称で、世界の半導体メーカが自主的に加盟している半導体市場に関する世界的な統計機関のことです。加盟している半導体メーカーは2024年現在で49社となっています。

市場統計予測値は原則年2回公表しています。例年春季版を6月頃、秋季版を11月頃となっています。

今回取り上げたデータは2024年12月3日に公表された秋季データを用いています。

地域別半導体市場の推移

次に地域別の半導体市場の推移を確認していきます。

世界の半導体市場

世界の半導体市場全体としては、2023年は前年比-8.2%のマイナス成長でした。マイナス成長となるのは2019年以来4年ぶりのことでした。この要因としては、世界的なインフレや利上げ、地政学的なリスク要因の高まりによって個人消費や企業における投資に影響を及ぼしたためと考えられています。

しかし、2024年は前年比+19.0%、さらに2025年は+11.2%と市場は再び成長することが予測されています。これを牽引するのは好調なAI関連投資です。

地域別の構成比率は、2025年予測値で日本7.4%、米国28.1%、EMEA(欧州・中東・アフリカ)8.9%、アジア・太平洋55.7%となっています。

日本としては相対的に割合が下がっている状況で、アジア・太平洋が過半を占めている格好です。

日本の半導体市場

日本の半導体市場について確認しましょう。

日本市場はドルベースで、2024年は前年比+1.4%とわずかではありますがプラス成長です。2025年は前年比+9.4%とプラス成長予測となっています。これによって過去最高を更新する予測です。

為替の影響もあり円ベースで見ますと、2024年は+8.7%、2025年は+8.3%の予測です。

日本市場は過去25年間を見てみると、大きく減少している時期はありますが全体としては横ばいです。世界の半導体市場は上下しながらも拡大していますので、世界市場における日本の相対的な割合が減少している状況です。

近年は日本政府も半導体関連企業へ積極的な助成を進めていますので、2025年以降も市場拡大に期待をしたいと思います。

米国の半導体市場

次に米国の半導体市場について確認しましょう。

米国市場は2024年前年比+38.9%、2025年は+15.4%と2年連続で二桁の大幅な成長が予測されています。2024年は4割近いプラス成長となっており、AI関連投資の伸びが後押ししているとみられています。

2019年や2020年頃と比較して、2025年には2倍を超えるところにまで拡大するようです。そのため日本市場と反対に世界における存在感が年々増している形です。

欧州の半導体市場

次に欧州地域の半導体市場について確認しましょう。

欧州市場は2024年前年比-6.7%と地域別では唯一のマイナス成長となっています。EV化の減速など得意の車載関係の伸びが鈍化していることが要因のひとつと考えられます。

2025年は+3.3%とプラス成長予測です。しかし過去最高だった2023年には及ばないレベルに留まる見込みです。

アジア・太平洋の半導体市場

地域別の最後にアジア・太平洋地域の半導体市場について確認しましょう。

アジア・太平洋市場は2024年前年比+17.5%、2025年は+10.4%と2年連続で二桁の大幅な成長が予測されています。メモリを中心に2023年の落ち込みが大きかった部分がありますが、2025年はこちらも過去最高を更新することが予測されています。

製品別半導体市場の推移

次に製品別の半導体市場の推移を確認していきます。

WSTSでは半導体をICと非ICに大きく二分しています。

IC製品は2024年前年比+24.8%、2025年は+12.3%と2年連続で二桁の大幅な成長が予測されています。ロジック半導体を中心としたAI関連製品の高い成長率が寄与している模様です。

一方で非IC製品は2024年が前年比-6.2%、2025年が前年比+5.1%の予測となっています。

全体の8割以上をICが占めており、さらに成長の伸び率が高いため、市場全体の9割近くになる見込みです。この後にIC製品と非IC製品の内訳をもう少し見ていきましょう。

IC製品別推移

IC製品はロジック、マイクロ、メモリ、アナログの4種類に分類されます。

  • ロジック:ASICやFPGAなど
  • マイクロ:マイコンやプロセッサなど
  • メモリ:DRAMやフラッシュメモリなど
  • アナログ:AD/DA変換や電源ICなど

2024年はアナログを除いてプラス成長です。特にメモリは2023年の落ち込みが大きかった反動もあり、前年比+81.0%という2倍近い大幅なプラス成長予測となっています。

2025年は全般にプラス成長です。ロジックとメモリは2024年に続いて二桁のプラス成長予測です。AI半導体向けに需要が高まっているロジック製品やHBMなどが牽引していると考えられます。

非IC製品別推移

非IC製品はディスクリート、センサ、オプトの3種類に分類されます。

  • ディスクリート:パワー半導体など
  • センサ:圧力センサ、ジャイロセンサ等
  • オプト:LED、イメージセンサなど

2024年は全般にマイナス成長予測です。特にディスクリートは-11.2%と大きく減少しています。

2025年は全般にプラス成長予測ですが、過去最高であった2022年相当には届くか届かないかのラインです。IC製品と比較しますと成長が鈍化している形です。

製品別まとめ

最後に製品別のまとめです。

これまで見てきました通り、2024年はロジック、メモリ、マイクロがプラス成長予測、2025年は全般にプラス成長予測となっています。

その中でもメモリは市場の変動が大きいことが如実に表れています。いい時と悪い時がこれほどはっきりとなるため、メモリ工場は運営が厳しいことが容易に想像できます。

2024年は今回の予測値でほぼ確定し、2025年は半導体全体の需要はまだまだ拡大することが予測されています。今後の成長に期待していきたいと思います。

出典

WSTS:2024年秋季半導体市場予測について(12/3)

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