2025年1月に半導体業界で生じたニュースを7本厳選してご紹介します。
動画で説明:半導体業界ニュース2025年1月号
2025年1月末時点の半導体関連株式市場推移
- 半導体市場(SIA)
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2024年11月:578.2億ドル
前月比:1.6%増
前年同月比:20.7%増 - 半導体株式市場(フィラデルフィア半導体指数)
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2025年2月1日(日本時間)時点:5015.85
各ニュース記事:半導体業界ニュース2025年1月号
IBMとグローバルファウンダリーズ、訴訟問題について和解
IBMとグローバルファウンダリーズは1/2、両社で進行中の訴訟について和解したと発表しました。
今回、和解に達した訴訟問題は2023年4月にグローバルファウンダリーズがIBMを提訴したものです。その内容はIBMが提携するラピダスなどにグローバルファウンダリーズの知的財産や企業秘密を違法に開示したとするものです。
両社間の契約違反、企業秘密、知的財産権の申し立てを含むすべての訴訟問題を解決したとしていますが、金銭面などの具体的な和解条件に付いては公表されておりません。
GFがIBMを訴えた問題が解決したようです。長期化すればラピダスへも何らかの影響があったかもしれませんので、まずは一安心といったところでしょうか。
- 基ニュース
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IBM:プレスリリース(1/2)
グローバルファウンダリーズ:プレスリリース(1/2)
ルネサスとホンダ、SDV用の高性能SoC開発契約を締結
ルネサスエレクトロニクスと本田技研工業は1/7、SDV(ソフトウェアデファインドビークル)用の高性能SoCの開発契約を締結したと発表しました。
開発するSoCはAI性能2,000 TOPS、電力効率20 TOPS/Wの実現を目指しており、ルネサス調べでは業界トップクラスということです。本SoCは、TSMCの自動車向け最先端プロセスである3nmテクノロジーを使用することで、消費電力を大幅に削減することが可能としています。
ホンダの新たなEVである「Honda 0シリーズ」の2020年代後半以降に発売するモデルへの搭載が予定されています。
ルネサスは、自動車OEMが取り組むSDVの実現に向け、車載用半導体の開発に力を入れているということで、ASRA(自動車用先端SoC技術研究組合)にも加盟していますが、今回はホンダと組んでホンダ独自のAIソフトウェアに最適化されたAIアクセラレータを実現させるということのようです。
- 基ニュース
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ルネサスエレクトロニクス:プレスリリース(1/7)
本田技研工業:プレスリリース(1/7)
マイクロン、シンガポールに先端パッケージ工場を建設へ
マイクロンテクノロジーは1/8、シンガポールの既存工場に隣接した新しいHBMパッケージング工場の建設に着工したと発表しました。
新工場はシンガポールにとって初めてのHBMパッケージング工場となり、2026年から稼働開始予定となっています。そして2027年には同社の先端パッケージング製造能力が大幅に増強されるということです。
投資額は今後数年内におよそ70億ドルになり、雇用は当初が約1,400人で将来的には約3,000人が見込まれています。
現在の半導体需要を支えている大きな要因のひとつであるAI向けに必須なHBMのパッケージング製造能力をマイクロンが増強します。まだまだ強い需要が期待できそうですね。
- 基ニュース
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マイクロンテクノロジー:プレスリリース(1/8)
インフィニオン、タイに後工程新工場を建設へ
インフィニオンテクノロジーズは1/14、バンコクの南に位置するサムットプラカーンに後工程工場を新設すると発表しました。
東南アジア地域における同社の後工程新工場は5つ目となります。この新工場は2026年初頭の操業開始を予定しています。
同社では今回の新工場建設を、製造拠点をさらに多極化し、コスト面で最適化すると同時に、前工程の供給能力拡大にも対応するという戦略における重要なステップと位置付けています。
投資額など具体的な内容は公表されていませんが、ある程度の規模と想定できます。パワー半導体で世界トップのインフィニオンが生産能力を拡充し、サプライチェーン強靭化を進めていくようです。
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インフィニオンテクノロジーズ:プレスリリース(1/14)
日本電気硝子、次世代パッケージ向け大型ガラス基板を開発
日本電気硝子は1/15、基板の大型化が求められる次世代半導体パッケージ向けに、515x510mm大型パネルサイズのガラスセラミックスコア基板「GCコア™」を開発したと発表しました。
近年は生成AIの普及などによってデータセンター需要が高まり、それらに使われる半導体のさらなる高性能化が求められています。
そのための手法のひとつがチップレット化であり、大規模なチップの配置やコスト面から大型の基板が必要とされています。
同社は2024年にガラス粉末とセラミックス粉末の複合材を用いたGCコア™(300mm角)基板を開発し、今回は多くの半導体の製造プロセスにおいて採用されている515×510mm角の大型パネルサイズのGCコア™基板の開発に成功したということです。
これによって半導体メーカーで現在使用している設備を利用することができ、設備投資を抑えることが可能としています。
チップレットの基板材料にはガラス基板の他にもシリコン基板やエポキシ基板など様々なものが候補となっています。材料によって一長一短がありますので、用途によって使い分けられていくのか、特定の材料がデファクトスタンダードのようなものになるのか、個人的には不勉強な部分ですので引き続き追っていきたいですね。
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日本電気硝子:プレスリリース(1/15)
セントラル硝子、先端半導体向けエッチングガスの量産開始
セントラル硝子は1/16、微細化が進む2nm世代以降の先端半導体製造に使用されるエッチングガスを、2024年12月より山口県宇部市の宇部工場で量産体制を整え、ロジック半導体用途向けに本格販売を開始したと発表しました。
同社が新規開発した「CEG 39A」は、2nm世代以降のGAA(Gate All Around)と呼ばれるトランジスタ構造に適応したエッチングガスです。既存ガスの5倍以上の選択比を有しているため、エッチングの加工精度に優れており、加えて2倍以上の加工速度を実現しているとしています。さらに地球温暖化係数はゼロであり、PFASフリーのガスであるため、環境負荷を大幅に低減することが可能ということです。
GAAやCFETといった次世代の先端ロジック品では、いかに選択比が高く精度良くエッチングができるかは重要な点です。日本企業が強い材料分野でそうしたガスの量産が開始された点は喜ばしいですね。
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セントラル硝子:プレスリリース(1/16)
佐賀大学、ダイヤモンド半導体の社会実装に向けた研究でCTCと連携
佐賀大学と伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は1/27、次世代の超高性能半導体として注目されるダイヤモンド半導体の社会実装に向けた研究で連携を開始したと発表しました。
ダイヤモンド半導体は、高いエネルギー効率を実現できる技術として、高性能なサーバ機器や通信機器、他にも電気自動車や量子コンピュータなどへの活用が期待されており、佐賀大学では世界最先端の研究が進められています。
佐賀大学とCTCはダイヤモンド半導体の実用化を推進してデジタル社会の実現に向け、エネルギー問題などの社会課題の解決を目指すとしています。
今後、佐賀大学はCTCからダイヤモンド半導体研究への委託契約等を通じた支援を受けて研究を進め、CTCへ関連技術情報を提供するとのことです。
ダイヤモンド半導体に関する研究に企業支援が付いた格好です。研究開発にはお金がかかりますから、そこに企業支援が入ることはいいことではないかと思います。これによってダイヤモンド半導体の研究開発が加速することを期待したいです。
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佐賀大学:プレスリリース(1/27)
伊藤忠テクノソリューションズ:プレスリリース(1/27)