【半導体業界ニュース】2023年11月のニュースを9本厳選してご紹介!

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2023年11月に半導体業界で生じたニュースを9本ご紹介します。

目次

動画で説明:半導体業界ニュース2023年11月号

2023年11月末時点の世界半導体市場と株式市場推移

各ニュース記事:半導体業界ニュース2023年11月号

ミネベアミツミ、日立のパワー半導体事業を買収

ミネベアミツミは11/2、日立製作所からパワー半導体を手掛ける日立パワーデバイスの株式を取得し子会社化すると発表しました。

同社はベアリングやモータなどの製品をコア事業「8本槍」として位置付けています。この中にパワー半導体を含めたアナログ半導体事業が入っています。

これまで同社ではパワー半導体の一種であるIGBTビジネスの拡大を計画、推進してきましたが、チップビジネスの展開に留まり、モジュール化技術は持っていませんでした。 今回の事業譲受により、従来のチップ製造に加え、パッケージ及びモジュールの後工程技術および生産能力を取得でき、「パワー半導体を開発から一貫生産できる垂直統合型のビジネス展開」が可能になるとしています。

日立製作所は、日立パワーデバイスが成長を続けるためには、アナログ半導体事業をコア事業の一つに位置づけるミネベアミツミのもとで、生産能力拡大と製造効率向上に取り組んでいくことが最適な方法であるとし今回の事業譲渡に至ったとしています。

コメント

ミネベアミツミは過去にミツミ電機やエイブリック、オムロンが持っていた8インチの半導体工場を取得しています。そして今回日立のパワー半導体事業を取得することで、半導体事業をさらに拡大させるようです。全般的に日が当たりにくい分野ではありますが、着実に規模拡大を進めているようです。

基ニュース

ミネベアミツミ:プレスリリース(11/2)

日立製作所:プレスリリース(11/2)

ローム、宮崎県のソーラーフロンティア旧国富工場取得を完了

ロームは11/7、ソーラーフロンティア株式会社と締結した基本合意に基づき、旧国富工場の資産を取得したと発表しました。

今回取得した工場は、ロームの製造子会社であるラピスセミコンダクタ株式会社の宮崎第二工場として整備・運営を行い、SiCパワー半導体の主力生産拠点として、2024年中の稼働を予定しています。

ロームは2023年7月にソーラーフロンティアと、同社がかつて太陽電池を製造していた同工場を取得することで合意したと発表していました。

コメント

ラピスセミコンダクタはかつて沖電気工業の半導体事業部門でした。2008年に分社化しロームへ売却され、2011年から現在の社名となっています。宮崎市内に宮崎工場があります。今後は今回取得が完了した宮崎第二工場がSiCパワー半導体の主力生産拠点になるということに加えて、SiCウエハ自体の生産も同工場で行う方針のようです。ロームのSiC事業が加速していきそうです。

基ニュース

ローム:プレスリリース(11/7)

INCJ、ルネサスエレクトロニクス株を売却へ

INCJ(旧産業革新機構)は11/9、同社が保有するルネサス エレクトロニクス株式を売却すると発表しました。

そして11/14に単元未満株である75株を除く全株式1億3023万1600株を売却し、議決権ベースでの出資比率が7.38%から0%になったことを発表しました。 単元未満株である75株も速やかに処分予定としています。

INCJはルネサスエレクトロニクスが経営危機にあった2013年に投資を行っています。それから約10年がたち、最適な手段・タイミングでこれまで段階的に保有株式を売却してきており、本売却に至ったとしています。

コメント

ルネサスエレクトロニクスへは10年前に約1,400億円が投資され、これまでも段階的に何度か株式が売却されてきましたが、今回の約1億3000万株でおよそ2,800億円になりますので、INCJが事業救済かつ利益を得た非常にいい事例となりました。

基ニュース

INCJ:プレスリリース(11/9)

三菱電機、ネクスペリアとSiCパワー半導体の共同開発へ

三菱電機は11/13、オランダの半導体メーカーであるネクスペリアとパワーエレクトロニクス市場向けSiCパワー半導体の共同開発に向けた戦略的パートナーシップに合意したと発表しました。

これによって三菱電機は自社の強みである化合物半導体技術などを適用したSiC-MOSFETチップをネクスペリア向けに開発と供給をするとしています。ネクスペリアは三菱電機製のSiCチップを搭載したSiCディスクリート製品を開発予定です。

ネクスペリアはオランダのナイメーヘンに本社を置く半導体メーカーで、2017年にNXPのスタンダード・プロダクト事業部門がスピンオフして独立した企業です。 ディスクリート品や標準ロジック品などを取り扱っています。

コメント

ネクスペリアはあまり名前が知られていないかもしれませんが、パワー半導体では2021年の売上高で世界8位の企業です。三菱電機としてはSiCのMOSFETチップ供給先のひとつを確保した形でしょうか。投資もされていますので、シェア拡大を狙っていくのでしょう。

基ニュース

三菱電機:プレスリリース(11/13)

デンソー、事業説明会の中で半導体事業の強化を説明

デンソーは11/15、2035年度に向けた事業計画説明会「DENSO DIALOG DAY 2023」をオンラインで開催しました。

この中で基盤技術の強化として、半導体事業として2030年度までに累計で5,000億円の積極的な投資を行い、2035年度には事業規模を現状比3倍の7,000億円に拡大するとしています。

特にBEVの電費向上に寄与するSiCパワー半導体に関しては、高品質ウエハの実用化、低コスト化など技術面の取り組みを進めるとともに、パートナーとの連携で安定供給を実現することで、市場投入を加速させる予定です。

コメント

デンソーの半導体事業戦略は、10月に実施されたジャパンモビリティショー2023のプレスカンファレンスに公表されていました。今回はもう少し具体的に示された形です。ただどういったものに対していつ投資を行うというところまでは出ていませんので、今後決まったら発表されるのでしょう。

基ニュース

デンソー:プレスリリース(11/15)

ラピダス、テンストレントと半導体IPのパートナーシップで合意

ラピダスは11/17、AIのためのコンピュータを構築する次世代コンピューティングカンパニーであるテンストレントと、2nmロジック半導体をベースにしたAIエッジデバイス領域での半導体IPのパートナーシップに関して合意したと発表しました。

テンストレントは、2016年に設立されたスタートアップで、本社はカナダのトロントにあります。AI半導体の設計、開発を行っており、CEOはTesla、Apple、AMD、Intelの各社で有名なプロセッサの設計者として活躍してきたJim Keller氏が務めています。

ラピダスはこれまでもIBMやimec等との国際連携、国内外の素材産業や装置産業との協力体制構築に加えて、IP分野の連携も今後積極的に推進し、最先端ファウンドリの実現を通じて日本の産業力の強化に貢献していくとしています。

コメント

ラピダスの課題のひとつである顧客がいるのかという点について一歩進んだようです。とは言ってもまだまだ課題は多いと思いますが、陰ながら応援していきたいです。

基ニュース

ラピダス:プレスリリース(11/17)

ADEKA、材料開発のために100億円を投じて新研究棟を建設へ

ADEKAは11/22、情報・電子化学品分野の研究開発力強化を目的に、久喜地区開発研究所内に研究棟の建設を決定したと発表しました。総工費は約100億円で、2026年1月に完成予定です。

同社は高純度エッチング用ガスやCVD用材料などを手掛けています。半導体の潜在需要は引き続き強く、今後、回復基調に入っていく見通しです。また、大容量化や消費電力削減などのニーズを背景に、半導体では微細化などの技術革新が進行しています。

情報・電子化学品事業の中核を担う先端半導体向け材料や半導体パッケージ(後工程向け)のプロセス材料を大きく飛躍させるため、本建設の決定に至ったとしています。 新研究棟は、開発の技術を深化・融合し、最先端半導体材料を開発する基幹研究所として、情報・電子化学品事業の拡大に向けた研究開発の中核を担う見込みです。

コメント

ADEKAは塩素などのエッチングガスやTEOS、ドーパント材などを扱っています。今回決定した新研究棟ではDRAM、NAND、ロジック向け新規ALD材料の開発や、成膜助剤の基本設計、基礎評価、材料適合性など、ALD材料の基本的な設計に注力するとしています。目立つものではないですが、重要ですし国内企業が強い半導体材料を一段と強化してもらいたいです。

基ニュース

ADEKA:プレスリリース(11/22)

レゾナック、シリコンバレーに半導体後工程のR&D拠点を開設へ

レゾナックは11/22、米国カリフォルニア州のシリコンバレーに半導体のパッケージング及び材料の研究開発センターの開設を予定し、導入設備などの調査、準備を開始したと発表しました。

同社はインテルやエヌビィディア、さらにはGAFAMといった半導体技術のコンセプトリーダーが集うシリコンバレーに、半導体の先端パッケージ材料技術の研究開発センターであるパッケージングソリューションセンター(PSC)を新設する準備を始めました。 PSCは日本国内では新川崎で実績があり、300mmウェハや500mm角パネルに対応する、レーザーダイシングや微細配線形成が可能な最新鋭の設備等を備え、2.xDや3D半導体パッケージなどの最先端プロセス・材料に関する試作・評価を一貫して行うことができる拠点として、世界的な半導体メーカーからの注目を集めています。

現在、導入設備の調査検討、及び準備を進めており、今後クリーンルーム、設備を導入後、2025年度の運用開始の予定となっています。

さらに同社は、米国テキサス州にある半導体コンソーシアムTexas Institute for Electronics(TIE)に日本メーカー、また材料メーカーとしても初めて、戦略パートナーとして参画すると発表しました。

TIEは、米国テキサス大学オースティン校が主導する非営利団体で、半導体の最先端技術のロードマップを5年早め、米国で最先端の技術を生み出すことを目的としています。TIEにはインテルやAMD、マイクロン、AMATなどが参画しています。 TIEは2024年後半から2.xD、及び3Dパッケージの試作ラインを立ち上げる計画で、同社はTIEへの参画により他社との共創を図り、最先端技術の研究・開発を進め課題解決に寄与することを目指すとしています。

コメント

レゾナックとは特に後工程の材料に強いメーカーです。シリコンバレーに拠点を設け、コンソーシアムに参画するなどして米国企業との協力関係を強化していくようですので、今後の動きにも注目していきます。

基ニュース

レゾナック:プレスリリース(11/22)

レゾナック:プレスリリース(11/22)

23年度補正予算が成立、半導体関係におよそ2兆円を投じる

23年度の補正予算が11/29、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立しました。

半導体関係予算全体では既存基金の残金を含めて1兆9,867億円となっています。 その内訳は、経済安保基金として5,754億円、先端半導体基金として既存基金残金含めて7,652億円、ポスト5G基金として6,461億円となっています。 今後国内での半導体生産拠点整備や継続生産による安定供給を実現するために具体的な支援が決まる見込みです。

コメント

先端半導体の製造基盤確保として、これまでにJASMやキオクシア、マイクロンに助成がされてきました。今後も第2、第3工場が噂されるJASMや宮城県に工場建設が決まったJSMC、さらにはラピダスなどに助成がされると考えられます。具体的な決定に注目していきます。

基ニュース

経済産業省:経済産業省関係令和5年度補正予算の概要

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