【2022年版】日本国内の半導体工場投資案件まとめ10選

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半導体不足や半導体の重要性の再認識、EV化や省エネ化に欠かせないパワー半導体の需要増加などに伴って2022年は多くの半導体工場投資が発表されました。

代表的な10の案件についてまとめましたので、ご紹介します。是非とも最後までご覧ください。

この記事を書いた人

【プロフィール】

  • 上場企業の現役半導体プロセスエンジニア
    (経験10年以上)
  • 多くの材料メーカーや生産委託先企業との業務経験あり
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ずーぼ  
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目次

動画で説明:2022年版国内の半導体工場投資案件まとめ

国内半導体工場投資案件まとめ10選一覧表

上図が10案件の一覧表です。

半導体の種別ではロジックが1件、メモリが2件、イメージセンサが1件で、残りの6件がSiCを含むパワー半導体です。

パワー半導体は日本企業が存在感を発揮できている分野であり、今後の需要増加が見込まれている分野でもあります。
工場の立地を見ますと、北は東北地方から南は九州地方まで国内に幅広く点在しています。それでは個別の内容をみていきましょう。

国内半導体工場投資案件まとめ10選個別内容

JASM(TSMC)

JASMはTSMCが熊本につくる新工場の運営会社です。

工場は熊本県菊池郡菊陽町に建設中で、その生産能力は300mmウエハ換算で月産5.5万枚の見込みです。

生産するのは22/28nmと12/16nmプロセスのロジック半導体で、国内工場ではもっとも微細なプロセスとなります。

投資額は86億ドル、日本円にしますとおよそ1兆2000億円という巨額の投資です。ここに経済産業省の助成金が4760億円投入される計画です。

2024年12月に初回出荷を予定していますので、工場自体は2023年中には完成して装置搬入や立上げが進むと考えられます。

キオクシア

キオクシアは東芝から分離独立した会社で、売上高では国内トップの半導体製造メーカーで、主力製品はフラッシュメモリです。

およそ1兆円を投じたと言われる主力の四日市工場(三重県四日市市)の第7製造棟(Y7棟)が、2022年秋に完成して竣工式が行われています。 四日市工場はこれ以上の拡張するスペースがないため、今回のY7棟が最後になる見込みです。

今後は岩手県北上市の北上工場の拡張が進むと考えられ、実際に北上工場では第2製造棟(K2棟)建設の起工式が行われました。K2棟にもおよそ1兆円が投じられる見込みです。

ソニーグループ

ソニーグループはソニーセミコンダクタソリューションズが半導体事業を担っており、CMOSイメージセンサで世界トップの企業です。

イメージセンサの設備投資に2021年から2023年の3年間で9000億円を投じる計画であり、長崎県諫早市にある製造子会社のソニーセミコンダクタマニュファクチャリング長崎TECで工場の拡張が進んでいます。

2022年末には熊本に新たな工場を建設予定という報道もされており、今後も注目です。

富士電機

富士電機は大手の重電メーカーで、パワー半導体を中心とした半導体事業を手掛けています。

拠点はマザー工場となる松本工場(長野県松本市)、8インチの主力工場である山梨工場(山梨県南アルプス市)、SiC生産拠点として2024年量産開始予定の津軽工場(青森県五所川原市)、さらにマレーシアの4拠点です。

SiCモジュールは今後市場が急拡大する見込みで、津軽工場への投資が進んでいます。 2019年度から2023年度の中期計画では当初1200億円の投資予定でしたが、これを1900億円に増額しています。

ローム

ロームは幅広い製品を取り扱う大手の半導体製造メーカーです。近年はSiCを中心としたパワー半導体に注力しています。

子会社であるローム・アポロの筑後工場(福岡県筑後市)につくったSiC新棟が2022年から稼働します。当初は6インチラインで稼働し、途中から口径拡大をして8インチラインとする計画です。

富士電機の資料にもありましたが、SiC市場は今後急拡大することが見込まれており、2022年度から2026年度にかけて最大で1700億円を投じる計画となっています。

マイクロン

マイクロンは米国企業でDRAMやフラッシュメモリといったメモリが主力製品の企業です。

広島工場(広島県東広島市)は旧エルピーダメモリを買収して取得した工場で、300mmウエハ換算で月産4万枚のDRAMを生産します。

ここにデータセンターや5G 、AI技術に利用される先進的な1β(ベータワン)と呼ばれるDRAMの製造能力を強化に1394億円を投資すると発表しています(政府の補助金が最大465億円助成される見込み)。

三菱電機

三菱電機は大手の家電、重電メーカーでパワー半導体を中心とした半導体事業を手掛けています。

福山工場(広島県福山市)はシャープから取得した工場で、200mmラインを2022年から稼働しています。 2021年から2025年の間に1300億円を投じていく計画です。そして300mmラインも構築して2024年から稼働させる計画となっています。

ルネサスエレクトロニクス

ルネサスエレクトロニクスは日立製作所、三菱電機、NECの半導体事業が統合してできた企業で、マイコンを主力製品としています。

甲府工場(山梨県甲斐市)は旧日立系の工場で、6インチ、8インチラインを持っていましたが、2014年に閉鎖された工場でした。 しかしここに900億円を投じて300mmウエハ対応のパワー半導体生産ラインとして2024年に稼働を再開させることが発表されました。 一度閉鎖した工場に投資をして再稼働させるのは非常に珍しい事例です。

東芝

東芝は大手重電メーカーでパワー半導体を中心とした半導体事業を手掛けています。メモリ事業はキオクシアとして分離独立しています。

子会社である加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市)の既存の製造棟に300mmラインを導入中で、さらに新たな製造棟を建設します。 第1期の工事が2024年に完了して稼働を開始する予定です。

デンソー・USJC

デンソーは大手自動車部品メーカーで車載用半導体を一部内製しています。

旧富士通の三重工場を買収した台湾UMCの子会社であるUSJC三重工場(三重県桑名市)にパワー半導体用の300mmラインを構築して2023年上期から生産を開始する予定です。

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